知って得する賃金・労働条件の話

労働基準法について1月版

労働基準法

労働基準法(「労基法」)第15条には、事業主が労働者を採用したときに労働条件を明示することが義務付けられています。
1)労働契約の期間、
2)期間の定めのある労働契約の更新の基準、
3)就業場所・従事する業務、
4)始業・終業時刻、休憩時間、交代制勤務形態、
5)賃金、計算・支払方法、賃金支払い方法、昇給等、
6)退職事項など(以上は絶対に書面で示すことを要す)。
労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場で決定すべきものである。(労基法第2条 労働条件の決定)
使用者は、労働者が女性であることを理由として、賃金について、男性と差別的取扱いをしてはならない。(労基法第4条 男女同一賃金の原則)
この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。無効となった部分は、この法律で定める基準による。(労基法第13条 この法律違反の契約)
使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少なくとも30日前に予告をしなければならない。30日前に予告しない使用者は、30日分以上の平均賃金を支払わなければならない。(以下略)(労基法第20条 解雇の予告)
使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない。(労基法第26条 休業手当)
使用者は、労働時間が6時間を超える場合においては少なくとも45分、8時間を超える場合においては少なくとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。
(労基法第34条 休憩) 注 休憩が取れない時間は時間外労働となり時間外労働の割増金を支払わなければなりません。
労働者の過半数代表との書面による労使協定をし、それを労働基準監督署に届け出た場合に、使用者は労働者に時間外労働及び休日労働をさせることができる。(労基法第36条 時間外及び休日の労働の要旨)
使用者は、その雇入れの日から起算して6か月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割して10労働日の有給休暇を与えなければならない。
(労基法第39条 年次有給休暇) (注)短時間労働者は、勤務時間数で異なる。
育児関係の定めでは、労基法第65条に産前6週間及び産後8週間の休業、第67条に子が満1歳になるまでの女性の育児時間1時間(30分ずつ分割可)があります。
労基法第75条以下に労働災害の療養補償等が定められています。
労基法第101条、第102条に、労働基準監督官の現の臨検、尋問等、司法警察官の職務が定められています。(注)監督官には逮捕権もあります。
事業場に、この法律又はこの法律に基づいて発する命令に違反する事実がある場合においては、労働者は、その事実を行政官庁又は労働基準監督官に申告することができる。
2)使用者は、前項の申告したことを理由として、労働者に対して解雇その他不利益取扱いをしてはならない。
(労基法第104条 監督機関に対する申告) (注)申告は、電話でもよいし、とく名でもよいのです。
使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を3年間保存しなければならない。
(労基法第109条 記録の保存) (注)労基法施行規則第54条では、労働日数、労働時間、時間外労働数、休日労働時間数、深夜労働時間数等を記載することとなっています。

労働契約法

第2条(労働契約の原則) 労働契約は、労働者及び使用者が対等の立場における合意に基づいて締結し、又は変更すべきものとする。(以下略)

第5条(労働者の安全への配慮) 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働ができるよう、必要な配慮をするものとする。
(注)過労死等があった場合に、裁判になったときは、使用者の「安全配慮義務」違反として相当の損害賠償判決が出される可能性があります。